慶應総診の専門研修プログラム
慶應総診では、次のような能力をもった医師の養成を目指しています。
慶應総診の目指す医師像
- 基盤となる臨床力
EBMの実践と継続学習の基礎を作る - 全人的アプローチ
患者中心の医療の方法、BPSモデルなどを使って”人”を診る - 都会という “地域”を診る
貧困、格差、孤独、差別など 都会の潜在的問題にも目を向ける - 制度や社会へのアプローチ
問題の上流へアプローチするため、 研究や政策提言などにも関わる - 未来を造る教育力
未来のプライマリ・ケアを支える 人材育成のために卒前・卒後教育へ参画する
慶應総診では、総合診療専門研修プログラムとして3年間のプログラムを提供しています。総合診療Ⅰ(診療所・小病院)、総合診療Ⅱ(病院)をそれぞれ6ヶ月以上かつ合計18ヶ月以上、内科研修を6ヶ月、小児科研修 3ヶ月、救急科研修 3ヶ月でそれぞれ研修します。また、サブスペシャリティ研修として、日本プライマリ・ケア連合学会認定の新課程医療専門研修、日本病院総合診療医学会の病院総合診療専門研修のプログラムもそれぞれ有しています。また、内科専門医とのダブルボード取得も可能な環境を整えています。
ローテーション例
当プログラムでは、日本専門医機構の認定する総合診療研修医プログラムを3年間で修了する形になります。その後連動研修として、日本プライマリ・ケア連合学会の新・家庭医療専門医研修を行い家庭医療専門医の取得を目指してもらいます。
新家庭医療専門研修については、こちらのページ(一般社団法人日本プライマリ・ケア連合学会)も参考にしてください。
ローテーションの順番は、その時の専攻医の数や連携施設の状況により適宜変更いたします。原則として、小児科・救急科研修を1年目に行ってその後も継続して小児・救急診療に関われるようにしていきます。
研修サポート
総合診療の研修は基幹施設での研修よりもローテーションが多いのが特徴です。基幹施設外に居ても研修期間を通して、継続的なサポートを責任持って行います。専攻医に対しては、慶應の指導医がメンターとしてつき、2週に1回の遠隔での振り返りを行い、どこで研修していても慶應の指導医から継続的な指導を受けることができます。また、年3〜4回のレジデント・デイを行い、総合診療医として必要な知識を伝えるコアレクチャーを行ったり、専攻医のポートフォリオ作成支援も行います。指導医と専攻医はSlackで常に連絡を取り合い、症例相談、ポートフォリオ作成支援など、研修中の悩みなどの共有を遠隔でも行える環境を整えています。
また、多様なキャリアパスを支援しています。子育て中などの家庭の都合がある方はお気軽にご相談ください!
研修施設紹介
当プログラムでは、慶應の関連病院を中心に多様な施設と連携を組んでいます。専攻医のニーズに併せて研修施設を選択することができます。
※は、へき地・医療過疎地域として認定されている施設
総合診療Ⅰ
- 河北ファミリークリニック南阿佐ヶ谷(東京)
- CFMDレジデンシー東京(東京/神奈川)
- 祐ホームクリニック(東京)
- 新宿ヒロクリニック(東京)
- 亀田ファミリークリニック館山(千葉)
- まつむらファミリークリニック(神奈川)
- 西伊豆健育会病院(静岡)※
- 祐ホームクリニック石巻(宮城)
総合診療Ⅱ
- 慶應義塾大学病院
- 安房地域医療センター(千葉)※
- 王子生協病院(東京)
- 亀田森の里病院(神奈川)
- 国立病院機構埼玉病院(埼玉)
- 東京歯科大学市川総合病院(千葉)
- 済生会宇都宮病院(栃木)
- 恵寿総合病院(石川)※
- 浦添総合病院(沖縄)
内科
- 慶應義塾大学病院
- 済生会宇都宮病院
- 国立病院機構埼玉病院
- さいたま市立病院
- 安房地域医療センター※
- けいゆう病院
- 浦添総合病院
- 東京歯科大学市川総合病院
小児科
- 慶應義塾大学病院
- 済生会宇都宮病院
- 国立病院機構埼玉病院
- けいゆう病院
救急科
- 慶應義塾大学病院
- 済生会宇都宮病院
- 国立病院機構埼玉病院
- 安房地域医療センター※
- 浦添総合病院
メッセージ
指導医からのメッセージ
慶應の総合診療科のプログラムでは、高い臨床能力をつけることはもちろんのこと研究や教育にも関わることができるアカデミック総合診療医の育成を目指しています。多様かつとても教育的な研修施設と多数連携しており、研修中は医学教育に長けた慶應の指導医が継続的にフォローします。新しい組織なので、それぞれがやりたいことを尊重しながらお互いの力を発揮できるような組織を目指しています。ぜひ一緒に日本の総合診療を盛り上げましょう!
副プログラム責任者 安藤崇之
専攻医からのメッセージ
田谷元先生(専攻医2年目)
- 総合診療科を選んだ理由
父が内科開業医をしており,以前から地域で幅広いプライマリケア課題の相談を受ける医師が自分の中で漠然とした目指す医師像でした。大学時代に家庭医療学や総合診療の話をきき、目指す医師像と専門性の方向性が一致しており,総合診療を選びました。
- 慶應総診に入ってよかったこと
慶應義塾大学の関連病院やプログラムとして連携医療機関を多く有していることが魅力の一つです。総合診療プログラムでは救急科や小児科などの研修が必修とされており,各科の研修も連携医療機関でしっかり行うことができました。また自分の希望を聞いてもらい、ローテーション先を調整いただけたことも良かったです。.
- 将来の夢・目指す医師像
父と同じく,地域で幅広いプライマリケア課題の相談を受けることができる医師.家庭医療の実践者としての実地医家を目指していきたいです。
- 医学生・研修医へ当プログラムのおすすめポイント
連携医療機関が豊富であり,目指す将来像や希望の研修環境を聞いてくださった上で後期研修医療機関として調整していただけるところです。
木原進先生(専攻医1年目)
慶應義塾大学の総合診療科専攻医プログラムを選んだ理由
私が慶應義塾大学病院の総合診療科専攻医プログラムを選んだ理由は、主に以下の3点です。
- 1.家庭医としての将来のビジョンとの一致
将来は、患者様の心と体に寄り添い、精神的にも技術的にも信頼される家庭医になることを目指しています。慶應義塾大学病院の総合診療科プログラムでは、各研修先で質の高い家庭医に必要な教育を受けることができると確信しています。
- 2. 都市部の家庭医療における深い学び
今後高齢化が進む大都市における先進的な家庭医療を学び、実践していきたいと考えています。過去にメーカーでの勤務経験もあり、働く世代の健康管理や、高齢化する親のサポート、小さな子どものケアが必要な家庭の支援も行いたいと思っています。
- 3. 組織の魅力
慶應義塾大学病院、各研修先では総合診療医に求められる高い水準の教育と指導を受けることができます。医局には優秀で人柄の良い医師が多く、若くて発展途上の組織であることも大きな魅力です。
興味をお持ちの方はぜひ一度見学にいらしてください。一緒に働ける日を楽しみにお待ちしております!
研修説明会案内
現在、当科での専門研修を検討・希望の方向けに個別にて説明会を開催しております。それぞれのご希望に併せてオンライン・対面どちらでも行っております。
詳しいプログラム内容、サブスペシャリティ、研修連携施設など詳しくご説明いたしますので、お気軽にお申込みください!
https://forms.gle/nU3hNkUw2FTSvWrF7
専攻医の応募について
- 募集定員:4名
- 選考方法:面接にて
- 面接日時:個別調整
日本専門医機構の定める採用期間に採用を決定します。(例年11月頃)
慶應義塾大学医学部専修医研修センターのHPにて募集スケジュールや応募書類などの詳細が順次公開されます。
決まり次第、こちらのHPでもお知らせいたします。
https://www.med.keio.ac.jp/sotsugo/kouki/kouki-index.html
採用の方法は、面接を行っています。入局を考えている方には、夏頃に事前の入局相談会をしておりますので、興味のある方は早めにご相談ください。
よくある質問
当医局は、新しい医局ということもあり専門研修終了後の進路は、それぞれの希望に併せて相談になります。キャリアアップの選択肢として、大学でのリサーチフェローや医学教育フェローなどもご用意しています。皆様の希望に合わせたキャリア形成をお手伝いしていければと思います。
制度としては可能です。当科にも内科の指導医資格を有するスタッフ(デュアル指導医)がおります。総合診療の専門研修でも内科研修が6ヶ月あり、総合診療Ⅱでも内科的なことを学ぶ機会はとても多いです。本当に内科の専門医取得まで必要かどうかは、将来どのようなセッティングで働きたいかにもよってくると思います。将来のキャリアも含めて、よく相談させて頂ければと思います。
まったくそのようなことはありません。現時点では、入局者の半数が慶應以外の卒業生です。医学部全体でも慶應以外の入局者や教授も多いです。開かれた環境ですので、ぜひ一緒に学び、成長しましょう。
総合診療は非常に研究テーマが多様です。もし研究に取り組みたいテーマがあれば、実現できるようにスタッフが支援します。現在慶應の総合診療科で取り組んでいる研究テーマとしては以下のようなものがあります。
- 医学教育関連(プロフェッショナリズム、曖昧さ耐性、多職種連携)
- 地域における多職種・多施設の連携(エスノグラフィー)
- 85歳以上の高齢者コホート研究(Multimorbidity, ポリドクター)
- 経済学部と連携した医療経済評価(インフルワクチン)
- 薬学部と連携した機械学習を使ったビッグデータ解析
- アレルギーセンターと連携した診療支援アプリ開発
- VR教材開発(在宅における家族カンファレンス)