慶應義塾大学病院の総合診療科は2014年に設立され、10年を迎えようとしています。

総合診療科の最大の特徴は、包括的な医療を提供することにあります。複数の科にまたがるような疾患をお持ちの方、発熱・頭痛・関節痛などで診断がつかない方、生活習慣病をお持ちの方で医学の証拠に基づいた予防医療についても考えたい方など、各患者さんの要望に応じて、またそれぞれの生活を鑑みて、健康を総合的かつ個別的に診療することを目指しています。

また、地域の病院・診療所からの紹介を通じて、診断に必要な検査や専門的な治療につなげ、必要に応じて、専門の内科や外科、精神科などの診療科とも連携することもできます。

このような総合的な診療は、専門が細分化されている中で普及するのが難しい状況でしたが、超高齢社会や地域共生社会など、総合的に物事を捉え、本質的なアプローチができる総合診療医は、2018年度から開始された新専門医制度において、内科や外科などと並ぶ基本診療科に位置付けられました。

慶應義塾大学総合診療科は、慶應義塾大学創立以来の実学である医学としての総合診療科の役割だけでなく、医学生や研修医の教育や総合診療・医学教育の研究を担っています。

総合診療科の医師たちは、患者さん個人に合わせた医療知識を共有し、地域の方々の健康を守ることを使命としており、教育・研究にも取り組み続けています。

総合診療医は、どのような症状・病態の患者さんにも適切な医療を提供できるよう、研修を積んだ医師です。

一般的な疾患については、標準的な診療指針（ガイドラインなど）やエビデンスに基づいて継続的に診療を担い、緊急対応や専門的治療を要する疾患については、診断の目安を付け、適切な診療科や医療機関に紹介する役割を担います。

従って、専門的な診療を主な役割とする既存の診療科とは明確に異なるキャリアパスとなりますが、専門診療科と相補的な役割を共有しながら、皆様のお役に立てれば幸甚です。

また、都市部の総合診療・家庭医療の分野は研究・教育ともに未開拓の部分も多くありますので、世界に発信できる学術部門としても邁進してまいります。

今後とも、慶應義塾大学病院総合診療科を宜しくお願い申し上げます。

総合診療教育センター センター長 春田淳志

教授、センター長、診療科副部長

春田 淳志

副センター長・専任講師

平橋 淳一

助教

安藤 崇之

助教

藤川 裕恭

兼担教授
（看護医療学部／大学院健康マネジメント研究科 教授）

新井 康通