2025/3/21 レジデントデイ開催
お知らせ
3/21に慶應総診レジデントデイを開催しました。
今回は、1年目と2年目の専攻医の先生にポートフォリオを発表してもらいました。
ケース①:思春期女性の不明熱
概要
- 10代後半の女性。軽度の発達特性あり。
- 微熱が続き複数医療機関を受診。呼吸器症状から喘息が診断されるが、本質的な問題は「学校に行けていない」ことであり心理的な背景も疑われる。
関わり
- 診察では母親が主に話し、本人の発言が少ない状況。
- 本人の興味や趣味をきっかけに、徐々に信頼関係を構築。
- 「熱型記録アプリ」を活用し、症状や気分を記録するセルフモニタリングを導入。
議論からのキーポイント
- 母子関係の再構築への働きかけ
- 別の家族メンバーの病気がきっかけに、また役割が再構成されるのではないか
- 思春期の患者さん相手のコミュニケーションを進めるコツ
ケース②:高齢男性の癌の診断から看取りまで
概要
- 高齢男性。がんの既往あり。救急搬送され、進行大腸癌が発見される。
- 病状の進行を受け、緩和ケア病棟に転棟。最終的に病棟で看取られた。
関わり
- 過去には「体調が悪くなったら引っ越したい場所」があったが、体調悪化後は「もういい」と繰り返すのみ。
- 看護師・心理士・栄養士など多職種で関わり、食事や点滴調整などで苦痛緩和を試みた。
- 本人と話しても、終末期の希望がなかなか語られない状態が続いていた
議論からのキーポイント
- 語られない希望にどう向き合うか:黙っていることが「無関心」ではなく、その人らしい意思表示かもしれないという視点。また人によっては、希望はもっておらず日々のルーチンをこなしながら亡くなっていく場合もある
- 良い看取りの条件:本人が最期まで穏やかに過ごせた一方で、「望んだ場所ではなかった」「痰で苦しさが残った」ことへの揺らぎもあった。Good Death Inventoryを紹介し、良い看取りの要素として考えられているものをベースに自分の看取りを見直すという手もあるかもしれない。
- 看取りの評価に関する葛藤:最終的には亡くなった本人にしか良い最期だったかは分からないが、家族から「本人は今の形を望んでいたと思います」と言ってもらえることで、医療者にとっても救いになっていた。
慶應総診では、定期的にレジデントデイを行っています。
それぞれの場所をローテしている専攻医が悩んだケースをポートフォリオとして発表してもらい、専攻医同士や指導医陣からフィードバックを受けて総合診療/家庭医療のスキルを深めていきます。
研修を通して、指導医から個別/グループで継続的なサポートが受けられるのが当プログラムの強みです。
興味のある医学生・研修医は、ぜひ見学にお越しください。