【JPCA2023】医学生によるポスター発表①
2023年5月13-14日に行われた日本プライマリ・ケア連合学会の学術大会で当医学部の4年生の難波美羅さんが発表してくれました。
【演題名】
医学生による東京都北区王子・豊島地域の地域診断とヘルスプロモーションからみえてきた活動の意義
【発表の内容】
私たちは学内の総合診療ゼミのメンバーで東京都北区王子・豊島地域を拠点とした地域診断の活動を実践しています。今回は昨年度の活動の振り返りを通して認識した、地域診断のプロセスに関する気づきについて報告しました。
地域診断のプロセスは地域に関するデータ調査から始まり、フィールドワーク、アセスメント(課題の特定)、課題に対する解決策の立案から実行、評価と進めていきます。そのうち、昨年度は主に地域のアセスメントの手前までの活動を実践しました。
発表では具体的にデータ調査とフィールドワークの方法やその具体的事例をまとめました。
そのうえで今後の展望について、地域診断のプロセスの「型」にとらわれすぎず柔軟な流れでサイクルを回したり地域の実情に精通している方々との活動のコラボを検討したりすることでより持続的に地域に向き合っていく必要性があると締め括りました。
【学会発表してみた感想・学んだこと】
今回の発表を機に、地域診断に関するさまざまな先行研究を渉猟し地域診断の概念や一般的に実践されている手法などを体系的に学び直しました。例えば、データ調査においては新しく学んだコミュニティアズパートナーモデルという手法を採用し、それに即してデータ調査の情報を更新し充実させました。さらに、地域診断のプロセスを参照しながら改めて私たちの活動の進捗を確認し、それを踏まえて今後の活動方針についてメンバーと見直し検討しました。
その一方で、今回先行研究から地域診断の定義やいわゆる「型」について学びましたが、その型に固執しすぎることなく私たちの活動形態や地域の実情に合わせて私たちなりの方法を柔軟に模索していくことが大事であると気づかされました。この点を考察で言語化できたのは大きな点でした。
【難波さんからのコメント】
医療者が地域に出て地域住民の方々の生活を見て交流をして、本当のニーズを探り、それに応えていく。将来、自分がとても大切にしたい考え方です。ただそこでは活動するフィールドの確保や地域の方々との信頼関係の構築など、目標を達成するうえでたくさんの障壁があることを実感しており、忍耐強くじっくり向き合い乗り越えていく必要性があります。普段、何かと効率を追求してしまいがちな自分にとって、この活動から得られる気づきは新鮮に映ることが多くあります。この活動では医療従事者として以前に1人の人間としての幅広い教養も学び成長させていただいております。今後も持続的に地域と関わっていけたらと思っていますし、ぜひ、地域診断の取り組みをもっと多くの仲間とともに一緒に進めていきたいです。
慶應総診では、やる気のある学生の活動を応援しています!!